片手間仕事

私の人生を変えたひとり。
S氏。

彼は、
与えられた仕事に
全身全霊で取り組む人でした。
人前に出る仕事でしたが、
ほかの人たちは
片手間でやっていました。
Y子、N夫など。

S氏は、
その仕事が始まる時間に合わせて
自分の気持ちを調整します。
最善の状態にするのです。

調整の中には、
「ゆるむ」もありました。
真っ昼間から寮の部屋で寝る。

寮は職場と同じ敷地にあり、
昼休みに帰る人はいましたが、
それ以外の時間は
事務室で雑務などをする、
というのが暗黙の決まりでした。

ところがS氏は
部屋で寝ている。

そのことに気づいた同僚たち。
中でも気の強いY子が
S氏の部屋にズカズカと上がり、
「怠けてるんじゃない!」
と怒鳴ったそうです。

S氏は、
「やっぱり理解されないよね。」
といっていました。



とはいえ、
S氏の仕事ぶりは
外部の人々に
非常に評判がいいのでした。

彼を
自分の会社に引き抜こうとした人も。



これを書いていて、
正反対のできごとを思い出しました。

某大手銀行のATMに
朝9時過ぎに行ったときのこと。
さほど混んでいませんでした。

若い行員が雑巾を手にして、
空いた機械から順に
拭き掃除をしていました。

私が操作することになった機械は
拭いたばかりでした。

すると。
臭うのです、強烈に。
雑巾が不潔だった証拠のにおい。

行員にとって拭き掃除は、
片手間仕事だったのでしょう。

実は、
その大手銀行へはのちに、
健診の仕事で出向くことになりました。

そしてわかりました。
行員たちが
人間的にすさんでいるということ。
相当ストレスを溜めて。

それはそれで大変でしょう。

ただ、ひとついえることがあります。
S氏の職場だって、
ストレスの溜まる職場でした。

そんな職場で笑顔で働いていたのは、
S氏ただひとり。


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メンタルコンサルテーション
静かな樹


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