突き放さない

前回は、
「自立させる」
について書きました。

すると、
こういう考えの人が出ます。

人間は、
小さい頃から
自分で考えて
行動させるべきだ。



これは、
人生という
大海の真っただ中に
クラゲを落とすようなもの。

心の軸はなく、ぐにゃぐにゃ。

目的地はない。
見つけたとしても、
そこへたどり着くまでの
術(すべ)を持たない。

海に漂い、
必死にもがくことになる。



では、
たとえばシャケは?

太い骨が体を通っていて、
長く泳げる。

どの時期にどこへ行くべきか
知っている。

力強く泳ぎ、
目的地へ向かうシャケ。



どちらの状態で
送り出すのか。

クラゲのまま送り出す人は、
人への愛情のかけ方を
知らない人。

突き放す人。

自立させる

以前、ある習い事で
いっしょだった女性。
高校生と中学生の息子さんを
お持ちでした。

ある日、お茶を飲みながら
彼女から聞いた話。

彼女とご主人は、
「進学は、
したくなければしなくていい」
という考えだと。

そして、子どもたちに
常々いっているそうな。
「中学までは義務教育だから
出してやる。
その先は、本当に勉強したいなら
行かせてやる。
勉強しないなら働きなさい。」



おそらく彼女とご主人は
有言実行タイプ。
「何々しないと置いていく。」
などと、子どもをうそで脅さない。

そういう両親だと知っているから、
実際、上の息子さんは中3のとき、
「高校に行かせてください。」
と、床に手をついて頭を下げた。

うーん、いい。
すばらしい。

大学までは出て、と
懇願する親もいる中、
彼女とご主人の考えに、
私はいたく感心したのでした。



彼女とご主人は
子どもたちに問うています。
「やる気はあるのか」
「自分の人生について
しっかり考えているか」

自立した人に育つでしょう。
親を尊敬するでしょう。



きょうこれを書いたのは、
ほぼ反対の実話を2つ
耳にしたから。

ひとつめ。
「息子の引っ越しを
手伝うので忙しい。」
という、知人女性。

息子さんは30過ぎています。

うちの主人に聞いてみました。
「おかあさんに
引っ越し手伝ってもらったこと
ある?」

「ないよ。もちろん。」

私も、ない。



ふたつめ。
主人の知人女性の話。

20代の息子が彼女と同棲していた。
数年経ち、息子は、
なんの説明もなく実家にもどり、
部屋にこもっている。

腫れものにさわるように接する、
主人の知人女性。
「彼女にふられたんだと思うの。」
とのこと。



甘えるにもほどがある。

ここまで甘えるのは、
甘やかす人がいるからです。

自立はできません。

行き詰まったら転換期

「もう無理。」
と思う状況が
人生にはあります。

年齢に関係なく。



最善の努力をして、
万策尽きた。

と、途方に暮れるなら、
それは転換期の合図です。



努力する人はまじめな人。
一途です。

とりあえず一途を脇に置いて、
大転換してください。

努力の方向性を変える。

自分の位置を変える。

生き方を変える。



「そんなのできない。
〇〇だから。」
といいますか。



人生は挑戦の連続。

転換期での挑戦は、
柔軟性のあらわれ。

柔軟であれば
行き詰まることはありません。