柔と剛

柔道では、
柔よく剛を制す
というのですよね。

どんな場面でもいえることですね。



ある朝のこと。
混んだ電車に乗って
空いた席に座りました。

私の左は中年男性、右は若い女性。

女性は本を読んでいます。
背筋を伸ばし、
両肩から肘までを
背もたれにつけています。
ピシッと。

そして、
肘を絶対に動かさないのです。
本のページをめくるときも、絶対に。
自分の範囲を主張しているようです。

そういう彼女の肘、
私の方に進出しているのです。
厳密にいうなら。

彼女が
肘で自分の範囲を主張するのなら、
私の範囲も守ってほしいのですが、
どうやらそこはわかっていない様子。

私は身を縮めながら、
彼女の肘に込められた力を
ずっと感じて座っていました。

肘には肘で対抗する
という手もありましたが、
やめておきました。
バカバカしいから。

通勤途中であろう彼女は、
数駅先で降りていきました。



彼女は
毎朝あの行動を取っているのでしょう。
肘に力を込めつづけ、
実は相手の領域を侵しながら。

おそらく、
ほかのあらゆる場面でも、
自分の権利を主張しているでしょう。
力を込めて。

剛です。

制しているつもりで
ちっとも制していないはずです。


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メンタルコンサルテーション
静かな樹


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