夫婦カウンセリングをやめたワケ
2011年4月2日
以前、当サロンには夫婦カウンセリングのメニューがありました。
今はありません。
夫婦カンセリングをやめた理由。
平たく言えば、「説教タレル以外にない」状態でいらっしゃるカップルが圧倒的だから。
もし、当サロンで夫婦カウンセリングを受けたことのある方がこの記事を読んでいらしたら・・・。
少しは冷静になっていらっしゃることでしょうから、どうぞその冷静さで読んでみてください。
私は、カウンセリングをお説教だとは思っておりません。
ものの見方に別の方向があるということをお示しし、その見方を試してみるかみないかはご本人の自由にお任せする。
それがカウンセリングだと思うのです。
ですから、以下のようなタイプのカップルがいらっしゃった場合、ほとほと困るのであります。
その1:
夫婦の問題を外に出すことをためらう気持ちからでしょうか。
ギリギリまで自分たちでなんとかしようとしてきた。
そして、ついに、夫婦のどちらか一方が、「もう限界。離婚する!」と99.9%決めた時点でカウンセリングにいらっしゃる。
つまり、離婚すると固く決心済みの場合。
その2:
自分に非はない。相手が悪い。
自分はこうこうこういう努力をしてきたのに、相手はこれこれこういうワルサをする。
自分は正しい。相手がまちがっている。
自分の考えは正義で、それを貫くべく行動してきたのに、相手はそれとは相容れない行動をする。
というような、訂正不可能な思い込みを持っていらっしゃる場合。
「やるだけのことはやった」「自分は正しい行動を取り続けてきた」と信じ切っていますので、考えを変える気がありません。
そしてどうやら、私からお墨付きをもらいたいらしいのです。
「正義はあなたにある。あなたがしてきた努力は正しい。今回の問題は相手のせい。だから、離婚するのは当然」というお墨付きを。
離婚が全て悪いとは言いません。
ただ、縁あって一緒になったふたりが、別れなくてもよいのに別れるとしたら、それはもちろん避けた方がよい。
離婚していい場合があります。
夫婦は互いに高め合うために一緒にいるのですから、その目的が十分に達せられ、互いに次の段階に進むべきだと思われる場合。
その場合は、笑顔で離婚すればよい。
そうです。そうなると、離婚していい場合って本当に少ないのです。
夫婦の縁は深い。
互いを高め合うために一緒にいる。
そしてまた、夫婦は運命共同体です。
決して、経済共同体ではありません。
そこを履き違えている方がけっこういらっしゃるように思います。
離婚しても自分で食べていける人、あるいは実家が食べさせてくれる人は、離婚の決意が早い。
また、離婚しても食べていけないからとか、自分の身の回りのことができないからという理由で、がまんして結婚生活を続ける人がいる。
どちらも、結婚を経済のためと見ていることになります。
ズバリ言わせていただきます。
結婚は、性行為を伴う経済活動ではありません。
子供がいるからがまんする、というのももってのほかです。
そんな理由で一緒にいたら、子供は、自分のせいで両親が苦しみ続けているのだと思うでしょう。
そもそも、今の時代、親から言われて泣く泣く結婚する人はまずいません。
相手を選んだのは自分です。
もっと厳密に言えば、自分の潜在意識です。
だから、相手の表面的な行動は、自分の潜在意識を映し出していると知るべきです。
たとえば、DV夫がいたとします。
暴力は絶対にいけない。当然です。
しかし、暴力を振るうに至るほど、夫の気持ちを追い詰めた妻がいるかもしれない。
あるいは、妻の自己評価が極端に低く、自分は暴力を受けてもしかたのない人間だと思っているかもしれない。
あくまでも、潜在意識で、の話です。
表面的に暴力を歓迎するのは、SM趣味の人だけ。
(SM趣味だって、潜在意識にはそれなりの理由があるわけですが。)
また、たとえば。
配偶者が結婚前から悪い習癖を持っていたとします。
仮に、妻のパチンコ狂いとしましょう。
結婚前は隠していて、結婚してから発覚した。
そういう場合、夫が、
「たまたま結婚してしまった自分に責任はない。私は被害者なのだ」
と思ったとしたら、それはまちがいであると申し上げます。
妻の心の奥底にどんな寂しさがあってそれを紛らわせようとしているのか、
共に考えていくのが夫の役割なのです。
おそらく、そういう要素が自分の中にもあったことに夫は気づくでしょう。
あるいは、自分の親がギャンブル狂いで、それを心の中で責めていた自分を再認識することになるかもしれません。
夫あるいは妻の持つ良くない性格についても、結婚したからには共に背負うべきであります。
背負うということは、単にあきらめてがまんすることではありません。
どうやったらそれを変えていけるか、深く深く掘り下げ、一緒に考えていくことです。
表面的に変えようとしても、それは絶対に無理です。
夫婦は互いの問題に対して、
「自分もこの問題から学ばせてもらうのだ」
という姿勢がなくてはなりません。
相手だけを責めても、何の解決にもならないのです。
何を学び取るか。
それは決して、
『人の振りみて我が振り直せ』
『反面教師』
であってはなりません。
そういう学びは正しい学びではありません。
ましてや、子供に向かって、
「お父さんのようになるんじゃありませんよ」
とか、
「うちのお母さんはどうしようもない女だな」
などと言ってはいけません。
子供の心の中にあるべき、父親という柱、母親という土台を壊すことになるからです。
夫または妻の心の中に、寂しさや苦しさがあるのなら、
それを共に取り除く努力をするのが、配偶者たるものの愛情です。
繰り返しますが、それは、表面的に受け止めようとか変えようと思うだけでは効果はありません。
心の奥を理解してあげようという心がけが必要です。
そのためには、心の奥の正しい把握が前提になります。
というようなことを、夫婦カウンセリングの場で、
ありとあらゆる例を挙げ、噛み砕いてご説明するのですが、
「私が絶対に正しい」と思い込んでいる人には、通じないのであります。
そういうわけで、夫婦カウンセリングはやめました。
夫婦ふたりの問題も、なんとかしたいと思う側がひとりでカウンセリングに来ていただけばよいので、
そういう対応をしております。
かえってひとりで受ける方が、自分自身を見つめるよい機会にもなるようです。
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「静かな樹」は、カウンセリングとヒプノセラピーのサロンです。
どのような考え方に基いてカウンセリングを行っているのか、
月に1、2回のペースで書いていきたいと思います。
端的に言えば、「人間の本質は善である」ということ、
そして、「自分を愛してこそ、人を愛せる」
「国を愛してこそ、自分を愛せる」
ということが根底にあります。
また、どんな人生にも意味と目的があるということも伝えたいと思っています。
平成23年2月3日 (旧暦 1月1日)